エバシ・セツロウ。生理学者。
7月17日、筋肉の伸び縮みの仕組みを解明した東京大学名誉教授の江橋節郎さんが心不全のため、死去。83歳。
1922年、東京生まれ。44年、東京帝国大学医学部を卒業、その後しばらく医学部の助手を務めた。59年にロックフェラー研究所客員研究員になり、同年、東京大学医学部の教授に就任する。75年、アメリカ技術科学アカデミー名誉会員に、77年、イギリス王立協会外国人会員になり活躍の場を世界に広げる。83年に岡崎国立共同研究機構に移り、91年から2年間は機構長を務めた。筋肉の収縮にカルシウムが作用する過程を明らかにするとともに、カルシウムと反応するたんぱく質を発見、トロポニンと名付けた。筋収縮を分子レベルで解明したこの業績でノーベル医学生理学賞候補になったこともあった。また、筋ジストロフィー症の診断法の開発といった臨床分野での功績もある。