スハルト。Suharto。インドネシア元大統領。
2008年1月27日、32年間インドネシアに君臨したスハルト元大統領が、多臓器不全のため死去。86歳。
1921年、インドネシアのジャワ島生まれ。40年オランダ領東インド植民地陸軍に入隊後、日本軍政下の郷土防衛義勇軍を経て、45年にインドネシア国軍の前身である人民治安軍に入隊、陸軍師団長、参謀本部次長などを歴任した。陸軍参謀長だった65年、共産党系将校によるとされるクーデター未遂事件「9.30事件」を徹底的に鎮圧、陸軍最高司令官となり、軍の実権を掌握した。67年3月、全権を剥奪されたスカルノ初代大統領の代行となり、68年3月、第2代大統領に就任して、日本やアメリカなど援助供与国の開発援助や外資による市場経済化を推進。「開発独裁」型リーダーとして、85年のプラザ合意後には、「東アジアの奇跡」といわれるほどの経済成長を遂げ、「開発の父」と称された。だが、76年の東ティモール併合宣言など強引な政治手法や、親族・側近優遇策に加えて、最高で約4兆円にものぼると世界銀行が推定するほどの不正蓄財問題が浮上。アジア通貨危機下の98年5月、公共料金値上げ反対に端を発した反政府デモや暴動などに直面して辞任、同年9月には不正蓄財疑惑により事情聴取を受けた。最高検察庁による追及は、病気を理由に凍結されたが、2007年7月、最高検により、不正蓄財の返還を求める民事訴訟を起こされていた。元大統領の葬儀は、国葬として出身地のジャワ島中部で行われ、参列者は数千人にのぼった。