キミ・コイシ。本名、篠原勲。漫才師。
2011年1月23日、実兄の故・夢路いとしさんとのコンビで60年以上にわたって活躍し、正統派“しゃべくり漫才”の名人といわれた喜味こいしさんが、肺がんのため死去。83歳。
1927年8月6日、埼玉県生まれ。旅回り一座の座員である両親の下に生まれ、幼いころから舞台に立つ。37年に上方漫才の草分け、荒川芳丸に入門。兄の博信さんとコンビ「荒川芳博・芳坊」を組む。太平洋戦争中は志願兵として陸軍に入り、広島の兵舎で被爆。48年、若手漫才作家の秋田實と出会い、若手漫才集団MZ研進会を結成。コンビ名を「夢路いとし・喜味こいし」と改名。50年にスタートしたNHK大阪のラジオ番組「気まぐれショーボート」に出演して注目を集め、テレビ、映画、舞台にも活動の場を広げた。司会を務めた視聴者参加形の買い物ゲーム番組「がっちり買いまショウ」は、63年12月から75年3月まで続く長寿番組となった。日常生活や時事問題を題材とする“しゃべくり漫才”正統派として、“いとこいさん”の愛称で親しまれた。93年には漫才コンビとして初めて紫綬褒章を受け、99年には大阪市無形文化財にも指定された。代表的な演目に「交通巡査」「ジンギスカン料理」「わが家の湾岸戦争」など。2003年9月、相方である兄の死にともない、漫才師を引退した。著書に「いとしこいし漫才の世界」「いとしこいし想い出がたり」などがある。