キタ・モリオ。本名、斎藤宗吉。作家。
2011年10月24日、ユーモアあふれるエッセー“どくとるマンボウ”シリーズや大河小説「楡(にれ)家の人びと」などで知られる作家の北杜夫さんが、腸閉塞のため死去。84歳。
1927年5月1日、東京生まれ。アララギ派の歌人で精神科医でもあった斎藤茂吉の次男。旧制松本高校時代に、作家となることを決意するが、父に医師となることを厳命され東北大学医学部に進学。卒業後は神経科医師となった。60年、船医として調査船に乗り組んだ体験を基に書いた「どくとるマンボウ航海記」が大ベストセラーとなり、ナチス・ドイツ支配下の精神科医を描いた「夜と霧の隅で」で第43回芥川賞を受賞。64年には斎藤家3代をモデルに描いた長編小説「楡家の人びと」で作家としての評価を高めた。以後「白きたおやかな峰」「輝ける碧き空の下で」などの純文学作品を手掛ける一方、「昆虫記」「青春記」など一連の“マンボウ”シリーズのエッセイで人気を博した。同シリーズでは40歳で発症した躁うつ病に向き合う姿すら「マンボウ遺言状」「マンボウ愛妻記」などにユーモアあふれる筆致で描かれている。98年には父・茂吉の人生を描いた4部作の評伝「青年茂吉」「壮年茂吉」「茂吉彷徨」「茂吉晩年」で第25回大佛次郎賞を受賞。他の作品に「船乗りクプクプの冒険」「さびしい王様」「あくびノオト」「怪盗ジバコ」「奇病連盟」「黄色い船」「木精」など。エッセイストで精神科医だった斎藤茂太は兄、エッセイストの斎藤由香は娘。