バツラフ・ハベル。Vaclav Havel。チェコ共和国初代大統領。
2011年12月18日、旧チェコスロバキアの共産政権を非暴力で倒した「ビロード革命」で中心的な役割を果たし、民主化後初の大統領を務めたバツラフ・ハベル前チェコ大統領が死去。75歳。1996年に肺がんの手術を受けてから入退院を繰り返していた。
1936年10月5日、旧チェコスロバキアのプラハ生まれ。実家は裕福な企業家だったが、48年の共産主義体制確立で財産を没収され、高等教育も拒否された。芸術大学の通信課程で演劇を学びながら劇団活動や演劇批評を続け、63年の戯曲「庭の祭り」で劇作家として国際的評価を受けた。68年の民主化運動「プラハの春」では非党員組織「独立作家の会」の議長として民主化運動に参加。運動の鎮圧後は作品の発表と上演を禁じられたが、77年人権擁護グループ「憲章77」の発起人となり人権抑圧に抗議。当局から逮捕や投獄を繰り返し受けた。89年11月には民主化運動が広がる中「市民フォーラム」を結成。93年チェコとスロバキアが分離した後も、2003年まで初代チェコ共和国大統領を務めた。自身がノーベル平和賞の候補者として何度も名前が挙げられたほか、10年には中国の人権活動家劉暁波への受賞支援でも中心的な役割を果たした。