オコノギ・ケイゴ。精神医学、精神分析学者。
9月21日、大人になろうとしない現代青年を「モラトリアム人間」と名づけ、日本人の行動様式を精神医学の立場から分析した小此木啓吾さんが、咽頭がんのため死去。73歳。
1930年、東京生まれ。慶應義塾大学医学部卒業後、同学部助手となり、72年助教授、90年からは新設された環境情報学部の教授などを務めた。フロイトの弟子として精神分析学を日本に持ち込んだ古沢平作に師事。精神分析を日本に定着させる一方で臨床にもたずさわり、家族、職場のメンタルヘルスの向上を計るなど、日本では数少ない家族精神医学の権威として活躍。日本精神分析学会会長なども務めた。78年に発表した著書「モラトリアム人間の時代」で、どの組織にも帰属感を持たない現代の日本の若者の精神状況を分析したが、そのこと自体は悪いことだと考えず、若者たちには理解を示していた。他の著書に「日本人の阿闍世コンプレックス」「自己愛人間」「シゾイド人間」などがある。