コモリ・カズコ。映画評論家。
1月8日、“小森のおばちゃま”の愛称で親しまれた映画評論家の小森和子さんが、呼吸不全のため死去。95歳。
1909年、東京生まれ。東京府立第三高等女学校(現・駒場高校)を卒業後、「婦人公論」記者、外国商社勤務を経て、映画関係記事の翻訳を始めるようになった。40歳の時に「映画之友」編集長だった淀川長治の勧めで映画評論の道に入る。テレビやラジオの洋画解説や、トーク番組での「おばちゃまはね…」と語りかける独特の語り口から“小森のおばちゃま”の愛称で親しまれ、映画紹介の決め言葉「モア・ベターよ」は流行語にもなった。早世したため面識はなかったが、自ら「永遠の恋人」と言うほどジェームス・ディーンの熱狂的なファンとして知られ、三回忌には墓参のため渡米。そのとき、旧知の女優シャーリー・マクレーンの自宅に居候したことで多くのハリウッドスターとも交流を持った。1980年にはフランス・シュバリエ勲章受章。92年には映画界への恩返しとして松竹に人材育成費3000万円を寄付するなど、日本映画の復興、発展にも力を注いだ。また同年、熊本市の映画サークル「キネコム」に約1万点の映画関係資料を贈っている。著書に自叙伝「流れるままに、愛」「おばちゃまのモア・ベター人生論」、奔放な恋愛遍歴を綴った「愛と性」などがある。