クマイ・ケイ。映画監督。
2007年5月23日、「黒部の太陽」「海と毒薬」などの作品で知られる、映画監督の熊井啓さんが、くも膜下出血のため死去。76歳。
1930年、長野県生まれ。信州大学卒業後、独立プロを経て、54年に日活に助監督として入社。64年「帝銀事件 死刑囚」で監督デビュー。三船敏郎と石原裕次郎が主演し、黒部ダムの建設を描いた「黒部の太陽」を監督した後、69年に日活を退社。フリーとして活動を始める。ベルリン国際映画祭では、75年「サンダカン八番娼館 望郷」で主演の田中絹代が女優賞を獲得し、87年にも「海と毒薬」で審査員特別大賞を受賞。89年には、「千利休 本覺坊遺文」でベネチア国際映画祭の銀獅子賞(監督賞)を受賞するなど、国際的にも高い評価を受けた。2001年には、松本サリン事件で犯人視された男性を描いた「日本の黒い夏―冤罪」を発表するなど、実際の事件を題材にした作品が多く、社会派の巨匠として知られた。ほかの作品に「忍ぶ川」「式部物語」「深い河」などがある。