サムエル・ワンジル。Samuel Wanjiru。陸上選手。
2008年8月24日、北京オリンピックの陸上男子マラソンで、ケニア出身で日本の高校に留学し、実業団でも活躍したサムエル・ワンジルが、2時間6分32秒のオリンピック新記録で優勝した。
1986年、ケニアのニャフルル生まれ。ニャフルルは標高2000m台の高地のため、子ども時代に自然と心肺機能が高まったという。シドニー・オリンピックの銀メダリスト、エリック・ワイナイナなど、日本で才能が開花した同郷の先輩にあこがれ、2002年、15歳の時に、奨学生として仙台育英高校に留学。03~04年の同校の全国高校駅伝連覇に貢献した。心の修行として書道を始め、「書の甲子園」として知られるコンクール、国際高校生選抜書展に出品して大賞を受賞したこともある。卒業後、バルセロナ・オリンピック銀メダリストの森下広一監督の指導を受けるため、実業団のトヨタ自動車九州に入って活躍。07年にハーフマラソンで世界新記録を樹立。同年、初マラソンとなる福岡国際マラソンで優勝し、08年のロンドンマラソンでは2位になっていた。
今大会の優勝は、ケニアにマラソン初の金メダルをもたらした。レース後、流ちょうな日本語で、日本に対する謝意を表したワンジルは、トヨタ自動車九州を退社。今後はプロのランナーとして、活動していくという。