コマツ・シゲミ。古筆学者。
2010年5月21日、平安から鎌倉時代にかけての名筆について、筆跡から筆者や書写年代などを特定して分類整理する「古筆学」の創始者、小松茂美さんが心不全のため死去。85歳。
1925年3月30日、山口県生まれ。山口県立柳井中学校(現・柳井高等学校)卒業後、旧国鉄に入り、45年広島で被爆。原爆症に苦しむ中、「平家納経」に魅せられ、独学で古筆研究をはじめた。上京して東京国立博物館に勤務するかたわら研究を続け、61年文学博士号を取得。「平安朝伝来の白氏文集と三蹟の研究」により66年日本学士院賞、「『平家納経の研究』の完成を含む古筆学研究体系化の業績」により79年度朝日賞を受賞。博物館を定年退職後、古筆学研究所を設立。同所長と日本の上代から近世に及ぶ書跡を収蔵する、センチュリーミュージアム館の館長を務めた。著書に、「後撰和歌集・校本と研究」「日本絵巻大成」「古筆学大成」「小松茂美著作集」などがある。