イチコ・テイジ。国文学者。
3月25日、日本の中・近世文学研究で大きな業績を挙げた、東京大学名誉教授で国文学研究資料館初代館長の市古貞次さんが、心不全のため死去。92歳。
1911年、山梨県生まれ。34年、東京大学文学部卒業。旧制一高、東大の教授を歴任し、72年、国文学研究資料館の初代館長に就任。古典資料の収集整備に努め、有史以来明治期までの日本の文献約60万点を網羅した「国書総目録」や「日本文学全史」など、日本文化史研究の基礎資料ともいえる図書の編纂にあたった。代表的著作「中世小説の研究」は、室町時代の御伽草子300余作品を体系化し、中世文学、特に小説文学研究の基礎を据えた。ほかに、「中世小説の周辺」「日本文学概論」など多数の著書がある。90年文化勲章を受章。2000年から01年まで日本学士院院長を務めた。