クシダ・マゴイチ。哲学者。随筆家。
7月8日、「山のパンセ」などを執筆した随筆家で詩人、哲学者の串田孫一さんが老衰のため死去。89歳。
1915年、東京生まれ。暁星中学、東京高校を経て、東京帝国大学文学部哲学科に入学。卒業後は上智、国学院、東京外語などの大学で教壇に立った。中学生のころから登山に親しみ、生涯を通じて山を愛した。大学在学中から山岳雑誌に寄稿。55年に初作品「若き日の山」を発表した。58年には詩人の尾崎喜八と月刊誌「アルプ」を創刊。山の文芸誌として多くの読者に評価され、廃刊まで通算300号を数えた。65年東京外国語大学の教授を退官。以後山岳紀行をはじめとして幅広い分野の執筆活動に専念。同年に始まったFM東京の音楽番組「音楽の絵本」ではパーソナリティーを務め、94年まで1500回続く長寿番組に成長させた。小説、哲学、人生論、山岳紀行の他、詩集や画集など多様なジャンルにおよぶ著書は「博物誌」「モンテーニュ素描」「旅人の悦び」など400冊を超え、98年には全8巻に及ぶ全集(筑摩書房)が刊行された。