ジョセフ・ロートブラット。Joseph Rotblat。物理学者。
8月31日、核兵器廃絶をめざす「パグウォッシュ会議」の創設メンバーでノーベル平和賞を受賞したジョセフ・ロートブラットさんが死去。96歳。
1908年、ポーランド・ワルシャワ生まれ。32年、ポーランド自由大学修士課程修了。その後、ワルシャワ大学、リバプール大学、ロンドン大学などで学んだ。37年からポーランド自由大学の原子物理研究所副所長に就任。その後、アメリカの原爆開発計画に参加。しかし、ナチス・ドイツに原爆の製造は不可能と判断し、途中で手を引いた。広島、長崎へ投下された原爆の威力にショックを受け、核廃絶運動を開始。54年の第5福竜丸被曝事故では、ビキニ水爆実験で大量の魚が放射能で汚染されたことを、大阪医科大学(現・大阪市立大学医学部)助教授だった西脇安のデータを基に解明。反核運動のきっかけをつくった。 広島と長崎へ原爆が投下されてから10年後の55年、哲学者バートランド・ラッセル卿、物理学者アルバート・アインシュタイン博士、日本の湯川秀樹博士ら著名な学者11人で、核兵器の廃絶を訴える「ラッセル=アインシュタイン宣言」を発表。ロートブラットさんはこの宣言を発表した11人の最後の生存者だった。57年、核兵器と戦争の廃絶をめざす「パグウォッシュ会議」の創設に参加し、会長に就任。95年、同会議とともにノーベル平和賞を受賞。