ボリス・ニコライェヴィチ・エリツィン。Boris Nikolayevich Yeltsin。前ロシア大統領。
2007年4月23日、ソビエト連邦解体の立役者で、新生ロシアの初代大統領を務めたボリス・エリツィン前大統領が、急性心不全のため死去。76歳。
1931年、ロシア、スべルドロフスク州生まれ。61年、ソ連共産党に入党。85年、ゴルバチョフ政権誕生直後に中央政界入り。87年、党中央委での保守派に対する批判発言で冷遇されたが、89年、ソ連人民代議員選挙で圧勝、90年6月にはロシア共和国最高会議議長に当選。同年7月、共産党を離党し、91年6月、ロシア初の民主選挙で同共和国大統領に当選した。同年8月のゴルバチョフ・ソ連大統領に対する保守派によるクーデターの際には、改革派市民とともにクーデターを阻んだ。12月、他の共和国とともにソ連邦消滅を宣言し、独立国家共同体(CIS)を創設。93年には議会側と対立、議会側が立てこもる最高会議ビルを戦車で砲撃し武力で鎮圧。94年、独立を宣言したチェチェン共和国に軍部隊を派遣してチェチェン紛争に火をつけた。その一方で、東西冷戦を終結させたが、急激な市場経済化と強権的な政権運営で社会の混乱を招いた。95年7月には虚血性心疾患で入院。以後たびたび心臓発作に見舞われた。99年8月、ウラジーミル・プーチンを大統領後継に指名。同年12月31日、第2次チェチェン紛争でプーチン人気が上昇するのを見届け、大統領辞任を発表した。著書に自伝「告白」「大統領のマラソン」、共著に「ソ連・東欧を読む」がある。