オカベ・イツコ。随筆家。
2008年4月29日、日常生活のなかの日本の美意識を追求した作品や、平和や人権についての積極的な発言で知られる随筆家の岡部伊都子さんが、肝臓がんによる呼吸器不全のため死去。85歳。
1923年、大阪府生まれ。生家はタイル問屋で、高等女学校時代に結核を患い、子供の頃から病弱だった。婚約者を戦争で失ったあと46年に結婚したが7年で離婚する。知人の紹介で、朝日放送のラジオ番組「四百字の言葉」の原稿を書き始め、それをまとめた「おむすびの味」で随筆家として独立。64年には京都に移住し、「美の巡礼」「鳴滝日記」などの作品を発表した。また、婚約者を沖縄戦で亡くしたため、平和や沖縄、人権に言及する随筆も発表。68年以降、沖縄をたびたび訪問して「沖縄からの出発」などを刊行した。他の著書に「古都ひとり」「女人の京」など。96年には「岡部伊都子集」が刊行されている。