ナカザワ・ケイジ。漫画家。
2012年12月19日、被爆体験を元に原爆投下後の広島を生きる少年を描いた漫画「はだしのゲン」で、原爆や戦争の恐ろしさを伝え続けてきた中沢啓治さんが、肺がんのため死去。73歳。
1939年3月14日、広島県生まれ。45年8月6日、6歳で被爆。父、姉、弟を亡くした。その日に生まれた妹も4カ月後に死亡。61年に上京し、63年に漫画家デビュー。当初は原爆体験を隠していたが、66年の母の死を機に、原爆を題材とした「黒い雨にうたれて」(68年)を発表。73年から週刊「少年ジャンプ」に自伝的作品「はだしのゲン」の連載を開始。戦後の困難に立ち向かう主人公ゲンの姿や、少年誌では異例の原爆被害の惨状を伝える描写が国内外で大きな反響を呼んだ。18カ国語に翻訳され、総発行部数は1000万部に及んだ。平和教育の入門書としても使われた。中沢さんは続編の構想も持っていたが、白内障などによる視力低下や腱鞘炎に苦しみ、2009年に漫画家を引退。10年に肺がんが見つかってからは故郷の広島で闘病を続けていた。