タンゲ・ケンゾウ。建築家。
3月22日、世界的な建築家で文化勲章を受章した丹下健三さんが、心不全のため死去。91歳。
1913年、大阪府生まれ。ル・コルビュジエに傾倒し、東京大学工学部建築科卒業後、コルビュジエの弟子だった前川國男に師事。42年、東京大学大学院に入学。在学中に大東亜建設記念造営計画の設計競技に1等入選するなど注目を集めた。卒業後、1946年より74年まで東大で教鞭を執る一方、61年には丹下健三都市建築設計研究所を開設。この間、広島市平和記念公園及び平和記念資料館、旧東京都庁舎や愛媛県民館、香川県庁舎、東京オリンピックのシンボルともなった国立代々木競技場などを次々と手がけた。70年の大阪万博では基幹施設プロデューサーとしてマスタープランを作り、お祭り広場を設計した。海外の都市再開発にかかわる一方、東京都の新都庁舎の指名競技設計にも1等入選を果たした。また東大の「丹下研究室」では槇文彦、磯崎新、黒川紀章、大谷幸夫、浅田孝、沖種郎、神谷宏治、谷口吉生ら多くの優れた人材を育てた。また80年に文化勲章、87年にはプリツカー賞など国内外で数多く受賞した。著書には自伝「一本の鉛筆から」「日本建築の原形」「人間と建築」などのほか作品集「丹下健三」などがある。