クラハシ・ユミコ。本名、熊谷由美子。作家。
6月10日、名作童話を題材に人間の暗部を描いたロングセラー、「大人のための残酷童話」などで知られる作家の倉橋由美子さんが、拡張型心筋症で死去。69歳。
1935年、高知県生まれ。日本女子衛生短期大学に入学し、歯科衛生士の国家試験に合格。その後、明治大学文学部に進みフランス文学を学ぶ。在学中の60年に発表した短編小説「パルタイ」が評論家の平野謙に激賞され、24歳にして文壇デビューを果たす。同作は芥川賞候補となり、同年生まれの学生作家・大江健三郎と共に話題を呼んだ。61年に作品集「パルタイ」で女流文学賞を受賞。63年に作家活動が評価され田村俊子賞、87年「アマノン国往還記」で泉鏡花文学賞を受賞。ほかに「スミヤキストQの冒険」「反悲劇」など多くの作品がある。シェル・シルヴァスタインの「ぼくを探しに」など絵本の翻訳にも意欲的に取り組み、6月下旬には、サン=テグジュペリ「星の王子さま」の新訳版が刊行される予定だった。