クロード・シモン。Claude Simon。作家。
7月6日、フランスのヌーボー・ロマン(新しい小説)の代表的な作家で、ノーベル文学賞を受賞したクロード・シモンさんが死去。91歳。
1913年、フランス領マダガスカル島(現・マダガスカル共和国)生まれ。フランス人の両親のうち、父は第一次世界大戦で戦死し、母とその家族に育てられる。青年時代にドイツ、ソ連、イタリア、ギリシャなどを旅行。市民戦争さ中のスペインにも滞在。第二次世界大戦ではナチスの捕虜となり、自力で脱出するまで5カ月間に及ぶ収容所生活を経験し、それが執筆活動の糧となった。60年に発表された代表作「フランドルへの道」など、それまでの小説形式を否定した作風はヌーボー・ロマンとかアンチ・ロマン(反小説)と呼ばれ、ロブ・グリエらと共に多大な影響を与えた。以後、67年「歴史」、73年「三枚つづきの絵」などを発表。85年ノーベル文学賞を受賞。フランス人作家の受賞は、サルトル(受賞辞退)以来21年ぶりだった。他の著書に89年「アカシア」、2001年「路面電車」などがある。政治的発言を嫌い、1995年のフランス核実験を巡り、同じくノーベル賞作家の大江健三郎と論争を展開。さらに、大戦期にフランスがナチスドイツの侵攻を許したのは、兵器計画に反対した平和主義者に責任があると批判した