ツボカワ・タクシ。映画監督。ミュージシャン。
11月19日、第23回トリノ映画祭で日本の坪川拓史監督の自主製作映画「美式天然(うつくしきてんねん)」が、コンペ部門でスロベニア人監督の作品とともにグランプリを受賞。同時に観客賞も受賞した。
1972年、北海道生まれ。93年に処女作の無声映画「十二月の三輪車」を製作。一方で俳優や音楽活動もこなし、楽団「くものすカルテット」ではアコーディオンを担当。自作の無声映画で弁士つきの生演奏を行い、全国各地で上映会を開催する。96年、故郷・長万部(おしゃまんべ)の映画館が取り壊されることにインスピレーションを受け、自主製作映画「美式天然」の製作に着手。資金不足から撮影に6年、編集に3年と完成まで9年を費やした。アニメ「ムーミン」のムーミンパパの声で知られる主演の高木均は、2004年に完成を見ることなく死去。脚本を認めた吉田日出子、小松政夫、常田富士男らはスケジュールの合間を縫って、ノーギャラで出演した。「美式天然」は、これまでに全国で試写会が行われ、06年4月の第49回サンフランシスコ国際映画祭への出品が決まっている。