ナガイ・ヨウノスケ。国際政治学者。
2008年12月18日、東京工業大学名誉教授で現実主義の論客として活躍した国際政治学者の永井陽之助さんが死去していたことが、09年3月18日にわかった。84歳。
1924年、東京生まれ。44年応召。台湾で敗戦を迎え、復員後、東京大学で丸山真男に師事。北海道大学教授、東京工業大学教授、青山学院大学教授を歴任。2度にわたりハーバード大学客員教授も務めた。政治社会学を専攻していたが、アメリカ留学中に起こったキューバ危機に衝撃を受け、政治社会学から国際政治学へ転向。65年「中央公論」に「米国の戦争観と毛沢東の挑戦」を発表し論壇デビュー。反核や軍事同盟反対の平和論、非武装中立主義を理想主義として批判する一方、吉田茂の軽武装・経済重視の戦後外交を吉田ドクトリンと名付け高く評価するなど、現実派の論客として注目を浴びた。85年以降は非核・軽武装を唱え、軍事力を過大視するタカ派論者を批判。手島記念研究賞を受賞した「冷戦の起源」を著すなど冷戦研究でも名高い。「日本外交における拘束と選択」で吉野作造賞、「現代と戦略」で文藝春秋読者賞。他の著書に「柔構造社会と暴力」「政治意識の研究」「多極世界の構造」「時間の政治学」などがある。