ヒダカ・トシタカ。動物行動学者。
2009年11月14日、動物行動学の権威で京都大学名誉教授の日高敏隆さんが、肺がんのため死去。79歳。
1930年、東京生まれ。東京大学理学部動物学科卒業後、昼間は岩波書店に勤務し、夜間は大学の研究室で研究を続けた。東京農工大学教授を経て、75年に京都大学理学部教授、89年に同学部長に。82年には日本動物行動学会を設立し、初代会長に就任した。京都大学退官後は、滋賀県立大学学長、総合地球環境学研究所所長などを務めた。動物と人間の行動を包括的に研究し、とくに昆虫の性フェロモンの機能の解明などで多くの成果をあげた。「動物と人間の世界認識」、毎日出版文化賞を受賞した「チョウはなぜ飛ぶか」などの多数の著書のほか、翻訳家としても活躍。コンラート・ローレンツの「ソロモンの指環」、リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」などの紹介で、学界にとどまらない反響を呼んだ。08年には瑞宝重光章を受章している。