マルヤ・サイイチ。本名、根村才一。作家、評論家。
2011年10月25日、政府は「年の残り」「たった一人の反乱」などの作品で知られる作家・評論家の丸谷才一さんら5人に文化勲章を贈ることを決めた。
1925年8月27日、山形県生まれ。50年東京大学文学部英文学科卒業後、大学院に籍を置きながら高校の講師を務め、同人誌「秩序」を創刊。53年から64年まで国学院大学に在職。この間、60年に処女作「エホバの顔を避けて」を発表。64年のジェイムズ・ジョイスの「ユリシーズ」の翻訳で注目されるようになり、40歳から小説に専念。日本的な私小説の伝統を批判する立場を取り、68年「年の残り」で第59回芥川賞、72年「たった一人の反乱」で第8回谷崎潤一郎賞を受賞。古典論、文章論、国語問題にも深い造詣を持ち、第25回読売文学賞を受賞した「後鳥羽院」(73年)、第38回野間文芸賞を受賞した「忠臣蔵とは何か」(84年)のほか、「文章読本」「日本文学史早わかり」などの評論がある。また25年がかりで新たに編んだ「新々百人一首」では第26回大佛次郎賞を受賞。他の作品に「横しぐれ」「裏声で歌へ君が代」「女ざかり」「輝く日の宮」など。2011年9月には8年ぶりの長編小説「持ち重りする薔薇の花」が発表されたばかり。