ヨシダ・ヒデカズ。音楽評論家。
2012年5月22日、日本におけるクラシック音楽評論の第一人者で文化勲章受章者の吉田秀和さんが、急性心不全のため死去。98歳。
1913年9月23日、東京生まれ。36年東京帝国大学仏文科卒業後、翻訳に従事。46年「音楽芸術」連載の「モーツァルト」で評論活動を開始。その後数々の評論を発表し、日本の音楽評論を確立。その文体は丸谷才一からも現代の名文と評され、75年には日本の音楽評論家としては初の全集が刊行され、大佛次郎賞を受賞。美術評論にも独自の視点を持ち、92年には「マネの肖像」で読売文学賞を受賞。一方、48年には桐朋学園大学音楽部の前身となる「子供のための音楽教室」を開設。指揮者の小澤征爾、ピアニストの中村紘子らを育てた。57年には作曲家の柴田南雄らと「二十世紀音楽研究所」を設立、88年には水戸市の水戸芸術館館長に就任するなど、芸術文化振興にも尽力し、90年に芸術評論全般を対象とした吉田秀和賞を創設。2006年、音楽評論の分野で初めて文化勲章を受章した。他の著書に「調和の幻想」「主題と変奏」「トゥールーズ=ロートレック」「響きと鏡」「音楽展望」「永遠の故郷」など。