ナカヤマ・ソヘイ。銀行家。
11月19日、元日本興業銀行頭取の中山素平さんが心不全のため死去。99歳。
1906年、東京生まれ。29年に東京商科大学(現・一橋大学)を卒業し、日本興業銀行(現・みずほフィナンシャルグループ)に入行。終戦後、同行が戦犯銀行として解体されそうになると、GHQ(連合軍総司令部)を相手に粘り強い交渉を続け危機を回避した。61年、頭取に就任。海運業界の再編や、65年には経営難にあえいでいた旧・山一證券の救済に尽力。日産自動車とプリンス自動車工業の合併(66年)、旧・八幡、富士両製鉄の合併による新日本製鉄誕生(70年)でリーダーシップを発揮するなど、危機があるとさっと現れ調整役として行動力と手腕を発揮し、解決するとすぐに姿を消すことから「財界の鞍馬天狗」の異名をとり、「ミスター再編成」、「財界の羅針盤」とも呼ばれた。相談役に退いた後も財界のご意見番として強い発言力を保持する一方、飾らない人柄で「ソッペイさん」と呼ばれる一面も持っていた。後年は教育問題にも取り組み、臨教審の会長代理を務めたほか、国際大学の設立にも尽力した。