ミズノエ・タキコ。女優、映画プロデューサー。
2009年11月16日、「男装の麗人」と呼ばれて人気を博し、「ターキー」の愛称で親しまれた元女優で映画プロデューサーの水の江滝子さんが、老衰のため死去。94歳。
1915年、北海道生まれ。28年に東京松竹楽劇部(のちの松竹少女歌劇団)に第1期生として入団。30年、日本のレビュー史上初めてシルクハットにタキシード姿で登場。「男装の麗人」として人気を博し、「ターキー」の愛称で親しまれた。39年に同劇団を退団後、42年に劇団「たんぽぽ」を結成。音楽喜劇「おしゃべり村」をヒットさせたが、48年解散。49年には美青年役で出演した映画「花くらべ狸御殿」が大ヒットした。54年以降は、日活と契約を結んで女性初の映画プロデューサーに転身し、石原裕次郎や浅丘ルリ子らのスターを発掘。70年にプロデューサーを引退するまでに76本の映画を製作した。この間、ラジオ番組「紅白音楽試合」(のちの紅白歌合戦)の紅組の司会や、テレビ放送開始とともに始まったNHKの人気クイズ番組「ジェスチャー」の女性軍キャプテンを15年間務めるなど、お茶の間でも人気者となった。93年には森繁久彌さんを葬儀委員長に芸能関係者ら約500人を集めた生前葬を行い、話題となった。翌94年の大林宣彦監督の映画「女ざかり」への特別出演を最後に、芸能界を引退した。