トガワ・ユキオ。小説家。
5月1日、動物文学を開拓し、幻のイリオモテヤマネコの発見者でもある戸川幸夫さんが、急性腎不全のため死去。92歳。
1912年、佐賀県生まれ。旧制山形高校中退後新聞記者となり、そのかたわら長谷川伸主宰の新鷹会に参加。55年「高安犬(こうやすけん)物語」で直木賞を受賞し作家活動に専念。父親が名ハンターだったため、幼い頃から自然と野生動物への愛着を深めた。野生動物を求めて世界各地を旅行。65年には沖縄・西表島から持ち帰ったヤマネコの頭骨と毛皮が、専門家の鑑定で新種と判明。イリオモテヤマネコと名付けられ、国の特別天然記念物となった。動物文学のほか、歴史ものや現代小説、子供向けの読み物でも優れた作品を残した。日本動物愛護協会理事なども務め、野生動物の保護活動でも活躍した。主な作品に「牙王物語」「咬ませ犬」。芸術選奨文部大臣賞を受賞した「戸川幸夫動物文学全集」がある。