ハヤシ・ケンタロウ。歴史学者。
8月10日、元東京大学学長で元参議院議員の歴史学者、林健太郎さんが心不全のため死去。91歳。
1913年、東京出身。旧制一高校在学中にマルクス主義文献に接し、当初は唯物史観による西洋史研究を志した。東京帝国大学で近代ドイツ史を専攻し、35年卒業。44年に召集され、一等水兵として敗戦を迎えた。戦後は東大助教授を経て54年から同教授を務めたが、次第にマルクス主義から離れ、保守的立場に移行した。68年の東大紛争では、文学部長として学生たちに9日間カンヅメ状態にされたが、頑として要求を受け入れず世人を驚かせた。73年から4年間、東大学長を務めた後、77年日本育英会会長、80年国際交流基金理事長を歴任。83年には参院選比例代表区に自民党候補として立候補して当選。主な著書に「ワイマル共和国」「両大戦間の世界」「ドイツ革命史1848・49」などがある。