ツカモト・カツミ。海洋生物学者。
2月23日、塚本勝巳東京大学教授率いる東大海洋研究所の研究グループが、これまで解明できなかったニホンウナギの産卵場所を突き止め、イギリスの科学誌「ネイチャー」に発表した。
1948年、岡山県生まれ。71年に東京大学農学部水産学科に入学。魚の運動メカニズムから回遊現象の研究を進め、琵琶湖のアユが遡上(そじょう)する条件を解明した。その後、同大海洋研究所助教授を経て、94年教授に就任。86年、フィリピンで行われた二ホンウナギの産卵場調査航海で、ウナギに初めて関わった。ウナギは世界に18種類いるが、産卵場所は古代ギリシャ時代から謎とされてきた。養殖のウナギは、全長50ミリ程度の天然の稚魚(シラスウナギ)を捕獲して育てられ、南に行くほど稚魚の大きさが小さくなることがわかっていた。91年の調査航海では、グアム島の西の海域で約1000匹の稚魚を捕獲。その中に体長7.7ミリの稚魚を見つけ、産卵場所に近づいていることを確信した。2005年6月、水深500メートルから生後2~5日とみられる体長4.2~6.5ミリの幼生、プレ・レプトセファルスを約400匹捕獲。DNA判定の結果二ホンウナギであることがわかり、海流や幼生の日齢から、産卵場所をグアム島の北西約200キロのスルガ海山(海底の山)に確定した。幼生は海流に乗って約3000キロを回遊、日本沿岸までやってくる。