モリ・イクエ。分子生物学者。
4月25日、第26回猿橋賞が、名古屋大学の森郁恵教授に贈られることが決定した。同賞は、自然科学の分野で優れた業績をあげた50歳未満の女性科学者を対象としている。
1957年、東京都生まれ。80年、お茶の水女子大学理学部生物学科卒業。83年、同大理学研究科修士課程修了。88年、米ワシントン大学生物医学系大学院博士課程修了。九州大学理学部助手、名古屋大学大学院理学科助教授を経て、2004年に同教授に就任した。専門は分子生物学。今回の受賞に至った研究テーマは、線虫C.エレガンスを利用した「感覚と学習行動の遺伝学的研究」で、アメリカ留学時代から一貫して続けてきたもの。細長いひも状で体長は約1ミリ、体細胞が約1000個しかないというこの線虫の学習時に働く神経回路を突き止めたことが、ヒトの記憶や学習の仕組みの解明につながるという点で評価された。