ヨネハラ・マリ。エッセイスト・ロシア語通訳。
5月25日、ロシア語通訳としてテレビや国際会議で活躍し、その経験を生かしたエッセーで人気を集めた米原万里さんが、卵巣がんのため死去。56歳。
1950年、東京都生まれ。日本共産党の幹部で衆議院議員も務めた父がチェコのプラハに派遣されたため、9歳から14歳まで現地のソビエト学校で学んだ。帰国後、75年に東京外国語大学ロシア語科を卒業、78年に東京大学大学院修士課程を修了したのち、同時通訳の仕事を始めた。90年、エリツィン元ロシア大統領が来日したときは随行して、記者会見やインタビューの通訳を務めた。95年、同時通訳の舞台裏を描いたエッセー「不実な美女か貞淑な醜女か」で読売文学賞を受賞。同年から97年まで自らが設立したロシア語通訳協会会長を務めた。2003年には初の小説作品「オリガ・モリソヴナの反語法」でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した。そのほかの著書に「魔女の1ダース」(講談社エッセイ賞)「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」(大宅壮一ノンフィクション賞)などがある。