ハヤフネ・チヨ。作家。
10月8日、女性作家で戦後一貫して児童文学運動を続けた早船ちよさんが老衰のため死去。91歳。
1914年、岐阜県生まれ。高山女子小学校高等科を卒業後、地元新聞社の社員、看護婦見習いなどを経て、33年に上京。教育運動史研究家の故・井野川潔と結婚し、小説を書き始めた。また、夫とともに「児童文化の会」を37年に結成し、児童文学運動にも尽力した。44年、埼玉県へ疎開。61年、鋳物工場が多く存在する埼玉県川口市を舞台にした小説「キューポラのある町」を発表した。工場の町でたくましく生きる少年少女を描いたこの作品は、日本児童文学者協会賞などを受賞。翌62年には日活によって映画化され、ヒロインの少女役で吉永小百合が出演。吉永はこの作品で大スターの地位を築き上げた。主な著書に、「いのち生まれるとき」「ちさ・女の歴史」などがある。