ヒノ・ケイゾウ。作家。
10月14日、芥川賞作家の日野啓三さんが、大腸がんのため死去。73歳。
1929年、東京都出身。東京大学卒業後、読売新聞社に入社し、ソウル、サイゴンなどで特派員をつとめる。74年「此岸の家」で平林たい子賞、75年「あの夕陽」で芥川賞を受賞。その後も「夢の島」など都市と自然の対立という単純な枠組みを超えた世界を描く「幻想的都市小説」ともいうべき作品に取り組んだ。他に「抱擁」(泉鏡花文学賞)など。90年に腎臓がん、その後、膀胱がん、鼻腔がんの手術をのりこえるが、2000年正月にくも膜下出血で倒れた。しかしその後も精力的に執筆活動を続け、今年に入ってから、闘病生活で考えたことや、子ども時代をすごした朝鮮などについて書いた短編集「落葉 神の小さな庭で」を出版した。