ラルフ・ラップ。Ralph Eugene Lapp。核物理学者。
9月7日、マンハッタン計画に参加したアメリカの核物理学者ラルフ・ラップ博士が、肺不全のため死去。87歳。
1917年、アメリカ・ニューヨーク州生まれ。シカゴ大学で物理学の博士号を取得し宇宙線の研究に従事。マンハッタン計画にはエンリコ・フェルミによってスカウトされた。広島への原爆投下直前の45年7月に、当時のトルーマン大統領に対し、日本に降伏の機会を与えなければ、原爆投下は「正当化できない」との嘆願書を送った科学者77人のなかの1人。戦後は原子力の平和利用を研究するアルゴンヌ国立冶金研究所に勤務し、アメリカ海軍の研究部門のコンサルタントも勤めた。原子力の平和利用の安全性を主張する一方、核爆発で発生する「放射性降下物」による放射能被害を訴え、大気圏での核実験に反対。58年に出版した著書「福竜丸」で、54年に発生した第五福竜丸事件を世界に紹介するなど20冊以上の一般向けの本を著した。