イシイ・テルオ。本名、北川輝男。映画監督。
8月12日、「網走番外地」シリーズなど多くの映画作品を手がけた監督、石井輝男さんが、肺がんのため死去。81歳。
1924年、東京生まれ。東宝を経て、創立されたばかりの新東宝に入社。黒澤明や小津安二郎とともに日本映画の黄金時代を築いた成瀬巳喜男、清水宏の下で助監督を務め、57年に「リングの王者 栄光の世界」で監督デビューを果たした。さらに同年から58年にかけ、子供向けのヒーロー映画「鋼鉄の巨人/スーパージャイアンツ」シリーズを手がけ人気を集め、「黒線地帯」などの「地帯」シリーズや、「女王蜂」シリーズで才能を開花させた。その後、新東宝の倒産にともない東映へ移籍。61年に高倉健を起用した「花と嵐とギャング」、63年には鶴田浩二主演の「昭和侠客伝」を監督し、絶大な人気を博した。65年には、自ら脚本も担当した高倉主演の「網走番外地」が大ヒット。18作のシリーズ中、10作を監督し、「網走番外地 望郷編」は同シリーズ最高傑作と評価された。また、エロスと猟奇的要素を盛り込んだ「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」では一部マニアに絶大な支持を獲得。さらにはつげ義春の漫画を映画化し、93年の「ゲンセンカン主人」、98年の「ねじ式」などを監督した。