ウイ・ジュン。沖縄大学名誉教授。
11月11日、水俣病の研究など、住民のための科学を実践した宇井純さんが、胸部大動脈瘤破裂のため死去。74歳。
1932年、東京生まれ。東京大学応用化学科卒業後、民間企業に3年間勤務。その後、東京大学大学院に戻り、プラスチック溶融体の研究を行った。65年、東京大学工学部助手となり、水俣病の原因究明に力を注いだ。68~69年にはWHO(世界保健機関)の上級研究員としてヨーロッパの公害を調査し、70年、水銀問題の紹介でフィンランド自然保護協会大賞を受賞。70年からは教室を一般開放した自主講座「公害原論」を開講、15年にわたって自身の研究結果を市民に伝えた。86年、沖縄大学教授に就任後は、空港建設や米軍基地問題など沖縄県内における環境破壊の現実を強く訴えた。91年、国連環境計画グローバル500賞を受賞。環境への負荷が少ない排水処理システムを考案し、沖縄県内の河川浄化に尽力するなど精力的に活動を行った。2002年、第1回アジア太平洋環境賞受賞。03年に沖縄大学を退職し、名誉教授に。著書に『公害原論』(1974~80年)など。