アワサカ・ツマオ。本名、厚川昌男。作家。
2009年2月3日、「乱れからくり」「蔭桔梗」などで知られる直木賞作家の泡坂妻夫さんが、急性大動脈解離のため死去。75歳。
1933年、東京生まれ。紋服に家紋を描く「紋章上絵師」の三代目として生まれ、高校卒業後、会社勤めを経て家業を継いだ。そのかたわらに書いた短編「DL2号機事件」が探偵小説専門誌「幻影城」新人賞佳作に入賞して76年デビュー。プロ級の奇術愛好家としても知られ、奇術を小道具にした「11枚のとらんぷ」などトリックや謎解きを中心とした作品や「しあわせの書」「生者と死者」といった、本そのものにも仕掛けのあるミステリー作品を発表。「乱れからくり」(日本推理作家協会賞)、「湖底のまつり」などで高い評価を受けた。時代小説も多くてがけ、88年「折鶴」で泉鏡花文学賞。90年には下町の紋章上絵師を主人公に人情の機微を描いた「蔭桔梗」で直木賞を受賞。他の作品に「斜光」「黒き舞楽」などがある。