アワヅ・キヨシ。グラフィックデザイナー。
2009年4月28日、第二次世界大戦後の日本の代表的なグラフィックデザイナーで、建築、舞台・映画など多分野でも活動した粟津潔さんが、肺炎のため死去。80歳。
1929年、東京生まれ。生後11カ月で父を失い、尋常小学校卒業後、働きながら学校に通ったが法政大学専門部を中退。絵画やデザインに興味を抱き、50年日本アンデパンダン展に初出品。55年軍事演習場として接収された海と老漁夫を描いた社会派ポスター「海を返せ」で、日宣美賞を受賞し注目を集めた。58年世界フィルムポスター・コンテスト最優秀賞、62年ミラノ・トリエンナーレ展銀賞、70年ワルシャワ国際ポスター・ビエンナーレ銀賞・特別賞を受賞するなど国際的にも高く評価された。また、60年には新陳代謝を意味するメタボリズムを冠した若手建築家らのグループにも参加。70年の大阪万国博覧会遊園地基本構想プランや、寺山修司の舞台美術、篠田正浩監督「心中天網島」などの映画美術にかかわり、雑誌「デザイン批評」「季刊フォルム」などの創刊も手がけた。作品集のほか、著書に「造形思考ノート」「ガウディ讃歌」など多数がある。