スギオカ・カソン。本名、正美。書家。
2012年3月3日、文化勲章受章者で、かな書の第一人者として知られる書家の杉岡華邨さんが心不全のため死去。98歳。
1913年3月6日、奈良県生まれ。奈良師範学校(現・奈良教育大学)卒業。小学校の教員時代、習字を教えたことをきっかけに書の世界に入り、漢字を辻本史邑(しゆう)、かなを尾上柴舟(さいしゅう)、日比野五鳳(ごほう)に師事する。51年から、文部省内地研究員として京都大学文学部で「王朝文学にあらわれた日本書道について」を研究、以後のライフワークとなる。51歳で日本美術展覧会(日展)審査員となってからは、西田幾多郎門下の哲学者、久松真一のもとで禅について学び、格調高く独創的な書風を確立。78年、「酒徳」で日展文部大臣賞、83年「玉藻」で日本芸術院賞。70年より大阪教育大学教授、85年から4年間日本書芸院理事長を務め、89年に日本芸術院会員となる。2000年、文化勲章を受章。著書に「かな書き入門」(1980年、保育社)「源氏物語と書生活」(2007年、日本放送出版協会)など。