クロイワ・ジュウゴ。作家。
3月7日、「背徳のメス」などの社会派ミステリーと「天の川の太陽」などの歴史小説で知られる作家の黒岩重吾さんが、肝不全のため死去。79歳。
1924年、大阪市生まれ。同志社大学法学部卒。大学在学中に応召し、中国東北部(満州)から命からがら生還。帰国後、急性小児麻痺(まひ)で3年間の療養生活を送る。証券会社社員やキャバレーの宣伝部員など様々な職業を経験したのち、同人誌「近代説話」に加わる。60年、「背徳のメス」で第44回直木賞を受賞。その後も社会派ミステリーを次々と発表。「裸の背徳者」「カオスの星屑」といった自伝的作品や、かつて株で大損をして住んだことのある大阪西成地区を舞台とした作品でも注目を集めた。70年代後半からは「紅蓮の女王」「落日王子」「天翔る白日」などの古代史をテーマにした作品を発表。79年には「天の川の太陽」で第14回吉川英治文学賞を、92年には一連の歴史ロマンに対して第40回菊池寛賞を受賞した。