シライ・コウジ。フランス文学者。
11月1日、フランスの哲学者サルトル研究の学者として知られ、日本に実存主義を広めたフランス文学者の白井浩司さんが、肺炎のため死去。87歳。
1917年、東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、NHK国際局仏語班に勤務。47年から母校の専任講師を経て、60年教授、83年から京都外国語大学教授などを歴任。47年にフランスの哲学者J・P. サルトルの小説「嘔吐」を翻訳、戦後の実存主義ブームのきっかけを作った。また、ロブ・グリエやデュラスら、ヌーボー・ロマンの作品の紹介役も果たした。74年日本ペンクラブ理事として訪韓した際、詩人・金芝河(キム・ジハ)の逮捕に関し「金氏の逮捕は文学活動の弾圧ではない」と発言し論議を呼び、ペンクラブ理事を辞任。最近では「新しい歴史教科書をつくる会」賛同者名簿にも名を連ねた。著書に「サルトル入門」「サルトルと知識人」「純粋観客」「アルベール・カミュ その光と影」、訳書にロブ・グリエ「嫉妬」、デュラス「静かな生活」などがある。