タケウチ・タダオ。病理学者。
2007年5月24日、水俣病研究などで知られる、病理学者で熊本大学名誉教授の武内忠男さんが、腎細胞がんのため死去。91歳。
1915年、大分県生まれ。41年満州医科大卒。50年、熊本大学医学部病理学教室に招聘され、55年同大学教授となる。56年に水俣病が公式確認され、同大医学部研究班に参加。59年、水俣病の原因物質について初めて「有機水銀説」を発表。62年には胎児期の有機水銀中毒の存在を発表し、胎盤は毒物を通さないとされてきた医学の定説を覆した。71年に発足した第2次研究班では班長を務め、73年熊本県有明町(現・天草市)に水俣病と同じ症状の患者がいると指摘。水俣、新潟に続く「第3水俣病」としてセンセーショナルに取り上げられ社会問題化した。その後、国が集めた専門家らによって「水俣病の疑いはなく、老人性疾患」と判定されたが、92年、武内氏は「あらかじめ水俣病を否定する決定文を用意していた」とする告発文を発表した。