サイゴウ・ノブツナ。国文学者。
2008年9月25日、古事記をはじめ古代文学研究で知られる国文学者で文化功労者の西郷信綱さんが、急性心不全のため死去。92歳。
1916年、大分県生まれ。東京帝国大学国文科卒業後、44年に清水高等商船学校教授となった。第二次世界大戦後は「鎌倉アカデミア」の創設に参加し、49年から横浜市立大学教授となったが、71年、大学闘争に対する当局の姿勢を批判して辞職。以後、在野で研究を続けた。「貴族文学としての万葉集」「日本古代文学史」などの著書を通し、旧国文学研究を批判。60~63年ロンドン大学で日本文学を教えた経験などから、古典作品を社会と時代のなかでとらえなおす、歴史社会学の成果を取り入れた。約20年がかりで古事記の注釈を行った「古事記注釈」(全4巻)で90年に角川源義賞を受賞、95年文化功労者。他に「古事記の世界」「古代人と夢」「源氏物語を読むために」「古代人と死」「斎藤茂吉」などの著書がある。