ヒラヤマ・イクオ。日本画家。
2009年12月2日、仏教伝来やシルクロードを題材にした日本画で知られ、文化財保存活動にも尽力した前・東京藝術大学学長で文化勲章受章者の平山郁夫さんが、脳梗塞(こうそく)のため死去。79歳。
1930年、広島県生まれ、旧制中学3年時、勤労動員中に被爆。東京美術学校(現・東京藝大)では日本画家の前田青邨に師事した。卒業後、母校の教官となり、53年に日本美術院展に「家路」で初入選。被爆の後遺症に苦しみながら制作した「仏教伝来」(59年)や61年の「入涅槃幻想」などで評価され、66年には東京藝大の遺跡調査団でトルコを訪問。以来、シルクロードの取材を重ね、仏教やシルクロードをめぐる作品を数多く描いた。また、法隆寺金堂や高松塚古墳の壁画の模写に従事するなど、内外の文化遺産の保存・修復活動に尽力し、国連教育科学文化機関(ユネスコ)親善大使も務めた。東京藝大大学長ほか、日本美術院理事長、日中友好協会会長、日本育英会会長、日本ユネスコ国内委員会会長などを歴任し、98年文化勲章受章。広島県尾道市に平山郁夫美術館、山梨県北杜市に平山郁夫シルクロード美術館がある。