カワモト・キハチロウ。人形アニメーション作家。
2010年8月23日、日本を代表する人形アニメーション作家で、NHK人形劇「三国志」や「平家物語」の人形美術を担当した川本喜八郎さんが、肺炎のため死去。85歳。
1925年1月11日、東京生まれ。横浜高等工業専門学校(現・横浜国立大学)建築科卒業後、46年に東宝撮影所に美術助手として入社するも、53年、東宝争議のあおりを受け同社を退社。劇作家の飯沢匡(ただす)らとともに人形芸術プロダクションを結成し、人形絵本を製作。63~64年にチェコに渡り、同国を代表する人形アニメの巨匠、イジィ・トルンカに師事。帰国後、フリーの人形美術家として児童番組などで人形製作に携わる。68年、人形アニメーション映画第1作「花折り」が、ルーマニアのママイア国際アニメーション映画祭で銀のペリカン賞を受賞。これを皮切りに「犬儒戯画」「鬼」「道成寺」「火宅」「不射之射」といった古典に題材をとった作品を発表し、国内外で高い評価を受けた。またNHKの人形劇「三国志」や「平家物語」の人形美術を担当したことでも知られ、2007年に開館した飯田市川本喜八郎人形美術館では、これらの作品に使われた人形をはじめ、計200体の人形を展示している。最後の作品となったのは、折口信夫の小説を原作とした映画「死者の書」(05年)で、同作品で文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞した。