シマ・ヒロシ。本名、岸上薫(キシウエ・カオル)。作家。
3月22日、ハンセン病国家賠償訴訟の名誉原告団長で作家の島比呂志さんが、多臓器不全で死去。84歳。
1918年、香川県生まれ。37年、旧東京農林専門学校(現・東京農工大)在学中にハンセン病の発病を自覚。母校の助教授をしていたが、発症のため帰郷。47年地元の療養所、大島青松園に入所し、世間から自分の存在を消すため「島比呂志」を名乗る。48年、鹿児島県の星塚敬愛園に移り、58年同人雑誌「火山地帯」を創刊。「奇妙な国」「海の沙」「生存宣言」などの小説や評論を通じ、国のハンセン病患者隔離政策を強く非難した。95年、九州弁護士会連合会に人権救済の申し立てを行い、96年「らい予防法」は廃止された。98年には熊本地裁への仲間12人と国家賠償訴訟第1次提訴に参加。99年には夫人と共に実名を公表して敬愛園を退所。2001年には国家賠償訴訟での勝訴判決を勝ち取った。