タニグチ・センキチ。映画監督。
2007年10月29日、「銀嶺の果て」「暁の脱走」で知られる映画監督の谷口千吉さんが、誤嚥(ごえん)性肺炎のため死去。95歳。
1912年、東京生まれ。早稲田大学在学中に千田是也などの劇団に入り、同大中退後に新劇での活動を経て東宝の前身PCLに入社。山本嘉次郎、島津保次郎の助監督を務めた。47年、黒澤明と共同で脚本を書き、三船敏郎がデビューを飾った山岳アクション「銀嶺の果て」で監督デビュー。その後も黒澤の脚本で「ジャコ万と鉄」(49年)を、共同脚本として、池部良、山口淑子が出演した戦争悲劇「暁の脱走」(50年)を製作している。東宝時代は「芸術の黒澤、娯楽の谷口」などと評され、54年の「潮騒」は、その後繰り返しリメイクされた同作品の原点となった。70年には、大阪万博の公式記録映画「日本万国博」の総監督を務めている。他の作品に「独立機関銃隊未だ射撃中」(63年)、「カモとねぎ」(68年)などがある。妻は女優の八千草薫。