タダ・トミオ。免疫学者。
2008年8月28日、第7回小林秀雄賞の選考会が開かれ、免疫学者多田富雄さんの「寡黙なる巨人」(集英社刊)が受賞作に選ばれた。
1934年、茨城県生まれ。64年千葉大学大学院修了後、同大学医学部教授を経て、東京大学医学部教授、東京理科大学生命科学研究所長を歴任。この間、免疫反応を抑制するサブレッサー(抑制)T細胞(リンパ球)を発見し、野口英世記念医学賞、エミール・フォン・ベーリング賞など受賞多数。84年には文化功労者に選ばれている。国際免疫学会連合会議の会長をつとめた世界的な免疫学の権威。一方で、能にも造詣が深く、新作能を手がけ、「免疫の意味論」で大仏次郎賞、「独酌余滴」で日本エッセイストクラブ賞などを受賞している。2001年5月、旅先で脳梗塞に倒れた後は、右半身の麻痺や構音(音声を発する機能)障害、嚥下(えんげ)障害と闘いながらパソコンで執筆活動を行ってきた。06年に行われた障害者のリハビリを制限する診療報酬改定をめぐっては、リハビリ制限反対の立場から活動的に発言を続けている。