サミュエル・ハンチントン。Samuel P. Huntington。政治学者。
2008年12月24日、冷戦終結後の世界で、宗教や文化の違いによる対立が激化すると警告した著書「文明の衝突」で知られる、アメリカを代表する政治学者、サミュエル・ハンチントン氏が死去。81歳。
1927年、アメリカ・ニューヨーク生まれ。18歳でエール大学を卒業。陸軍を経てハーバード大学で博士号を取得した後、同大で2007年まで教壇に立った。1970年代末期にはカーター政権で国家安全保障会議のメンバーも務めた。93年にアメリカの外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」に、冷戦後の対立軸が大国対大国から文明対文明に変わると予見した論文「文明の衝突?」を発表。これを膨らませた96年の著書「文明の衝突(“The Clash of Civilizations and the Remaking of World Order”)」で、文化、とくに宗教の違いにより、ヨーロッパ、イスラム、中国、日本など、世界が八つの文明圏に分かれ、相互に衝突すると主張、世界的な注目を集めた。また、2004年の著作「分断されるアメリカ―ナショナル・アイデンティティの危機」では、ヒスパニック系市民の増加がアメリカの伝統を破壊すると主張、物議をかもした。