タナベ・イッカク。本名、佐久間秀雄。講談師。
2009年12月22日、時事的な話題を盛り込んだ型破りな新作講談と長い口ひげで「ひげの一鶴」「ひげの先生」として親しまれた講談師の田辺一鶴さんが、肺炎のため死去。80歳。
1929年2月9日、東京生まれ。54年、吃音(きつおん)を直すため十二代・田辺南鶴に入門し初高座。 64年に参加国をすべて読み上げる新作講談「東京オリンピック」を発表し人気を得た。長い口ひげをトレードマークに、NHKの音楽番組「ステージ101」にレギュラー出演したり、映画や舞台、CMに出演。72年には、エルビス・プレスリーのカバーで知られる「ポークサラダ・アニー」を漫談でカバーした「ポークサラダ兄ィ」を出すなど、さまざまな分野で活躍。そのスタイルから異端児と呼ばれたが、73年に真打ちに昇進。「野茂英雄物語」「イチロー物語」「高橋尚子物語」のスポーツ講談や「貴花田と宮沢りえ」「田中角栄伝」など時事的話題を取り入れた新作を数多く発表。また、講談界で初めて女性の弟子を持つなど、女性講談師の育成にも尽力した。